WEBサイトのアクセス分析では、WEBサイト上で取得するクッキー(cookie)の活用が必要不可欠です。
クッキーは、サイト運営者側によって発行されて、サイト訪問者ー人一人が、いつ、どのページをどのくらいみているかといった閲覧情報の手がかりになります。また、ユーザーにとっては、登録済みのサイトのログインが楽にできたり、ショッピングサイトでの複数の商品の買いものが1度にできる便利な機能が使えるようになります。
ここ数年、このクッキーの技術を個人情報の保護を理由に廃止しようとする動きが広がっています。
サイトの運用やウェブ広告の担当者様にとっては、この「クッキーレス問題」は避けて通れません。
クッキーとはどのようなデータでしょうか?
そもそもクッキー情報とはどんなデータでしょう。クッキーのデータ仕様を整理しました。
クッキー( cookie )は、ウェブサイトやオンラインショップから、訪れたユーザーのパソコンやスマホのブラウザに発行されるごく小さな容量のデータです。
今後はクッキーがまったく使えなくなるのか?
クッキーには、2つの種類があります。自社で発行・利用する、「ファーストパーティークッキー」と他社が発行したものを自社で利用する「サードパーティクッキー」の2種類です。
ファーストパーティークッキーとは、ユーザーがアクセスしているウェブサイトが発行しているクッキーのことです。例えば、大手ECサイトアマゾン.CO.JPにアクセスしたとき、アマゾンから受け取るクッキーをファーストパーティクッキーといいます。
一方で、サードパーティークッキーは、ユーザーが訪問しているサイト以外で発行されたクッキーです。サードパーティクッキーは、ウェブ広告で主流となっているユーザーの興味・関心ごとに応じてターゲットを絞って広告を配信する「ターゲティング広告」で使われるクッキーです。
個人情報保護法の改正でもこのサードパーティクッキーの運用とウェブマーケティング全体に関する大きな動きがあります。ターゲティング広告で使われるサードパーティクッキーは、個人情報になり得る可能性もあるので、個人情報保護法で、その範囲や細かい設定を定義して規制し、ウェブマーケティングの進化を止めずに個人情報保護を適正に行なった運用すべきということです。
クッキーは廃止になるのか?
サードパーティクッキーについて、Apple社のSafariは、すでに利用不可(ブロックされる)になっています。また、Googleも自社製ウェブブラウザ Chromeの、2023年までにサードパーティクッキーを段階的に廃止するとしています。
特に、サードパーティクッキーが、ユーザー側は自分の情報がどのように活用されているかの把握が難しく、個人情報保護の観点から問題視されていることが大きな要因です。
この流れは、ブラウザ内で表示される広告を販売しサードパーティクッキーに集まる情報に対して広告が配信できなくなるウェブ広告業界にとって「クッキーレス」問題として、大きな局面に差し掛かっています。
最近、クッキーを個人情報の一種と位置付けて、クッキーの利用をサイトを訪れたユーザーに承認してもらう、「クッキーバナー」を採用するサイトが多くみかけます。
クッキーを使うことの何が問題なのか?
クッキーを利用した広告の仕組みがあります。ユーザーの興味・関心にマッチした広告を表示するユーザー追跡型の広告配信です。この広告の仕組みは、クッキーを経由して、複数サイトにアクセスした履歴を追うことで、そのユーザーの興味や行動を集めることで実現できます。
ユーザーの興味関心ごとに対して広告配信するので「ターゲティング広告」と呼ばれその施策を「リターゲティング」といったりします。
例えば、自動車関連ニュースのページや、自動車情報のメディアサイトに訪問するユーザーがいたとすると、そのユーザーは自動車に興味・関心が高く、自動車のパーツの販売店やメーカーが、クッキーの情報を通じてそのユーザーに向けて広告を配信することで、その広告の反響率は高まります。
この「リターゲティング広告」は、利用したことがなかったサイトに自分の情報(クッキー)を使って勝手に表示されるバナー広告の仕組みと言い換えると、「リターゲティング広告」は、改正個人情報保護法の「個人関連情報」にあたる、クッキー情報をもとに配信されることになり、ここが問題視されています。
クッキーが使えないとどうなる?
ユーザー側の都合でクッキーを無効にすることもできます。しかし、クッキー無効の状態では、画面がうまく表示できない、ショッピングができないといったことが起きる場合があります。
ウェブ広告を見てその企業のサイトやオンラインショップを閲覧し、後日無関係のメディアサイトで、その企業の広告が表示される「追跡型の広告」にもクッキーが使われています。
一度広告を見て訪問したユーザーに何度か同じ広告でアプローチすることを「リターゲティング」といいます。一度サイトを訪れた見込み客ユーザーは、その商材やサービスへの関心が高く、再アプローチすることで、顧客になってくれる確率が高いのです。
大半のウェブサイト、ウェブサービスも、ユーザーへの情報を最適化することができるクッキーを利用しています。ユーザーでクッキー無効のままですと、そもそも便利なウェブサービスを受けられなくなります。
クッキーレスは個人情報保護になる
なぜクッキーレスが進むのでしょうか。
これは、サードパーティクッキーによって、ウェブ広告のデータベースに個人に関する情報が集まり過ぎたことが要因です。ウェブ広告の事業者側が、さまざまなサイトの大量なアクセス情報を日々収集しており、高速でそのデータを分析しています。アクセス履歴のデータを組み合わせたりすることで、匿名だったはずのサイト訪問履歴情報に興味・関心だけにとどまらない住所、性別、年齢、さらには年収といった個人を特定できる情報まで精度が高まっています。
言い換えますと、広告業界の持つ配信ターゲットのデータベースがあまりにも精度が高くなりすぎて、個人情報のリストのようになってしまったのです。
個人情報保護法で何が変わったか?
ウェブ広告業界でのサードパーティクッキーの自主的規制が進めば、ネット上で個人情報漏洩のリスクも減っていくことでしょう。法整備も進んでおり、2022年4月に施行された個人情報保護法の改正のポイントを調べてみました。
2022年4月より施行される改正個人情報保護法では、クッキーに対して規制が追加されます。これまでクッキーの扱いについては明確な指針が示されてきませんでした。多くの企業が自社サイトへの「クッキーバナー」を組み込むなどの対策を進めています。
クッキーは「個人関連情報」にあたる
新しい個人情報保護法の改正では、「個人関連情報」という新しい用語が出てきました。個人関連情報とは、「個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」と定義され、具体的には、「クッキー」の情報もこれに入ります。
個人情報ではなく、他の情報と照合することで特定の個人を識別できるものが個人関連情報です。
個人関連情報を第三者に提供することで、個人データとして取得されることが想定されるときは、提供先の企業においては、事前に本人の同意を得ることが必要になります。
例えば、ある会社が匿名情報であるクッキー情報を別の会社に渡すとします。その別の会社は、クッキー情報(サードパーティクッキー)と、自社が持つ顧客リストと組み合わせたとき、匿名だったクッキー情報から個人情報リストを作成できてしまいます。個人関連情報が個人情報になる可能性があります。
「クッキーデータは、個人情報ではないが、未承認で第三者に渡していいということではないです。クッキーを取得する会社が、第三者にクッキーデータ(個人関連情報)を渡すことをユーザーに承諾してもらいましょう」というルールです。
最近増えているサイトに訪問時に出現するクッキーバナーは、その利用の承認を得るものです。
ウェブ広告は今後どうなっていくのか?
サードパーティクッキー廃止により、閲覧履歴からの広告ターゲティングは難しくなると想定されます。気味が悪いという方もいらっしゃる「リターゲティング広告」のような広告も姿を消すと思われます。どう見ても自分の個人情報が漏れている気がするからです。
ウェブ広告の業界や出稿広告主も側にも、広告の効率性を重視するだけでなく、コンプライアンスを守って、ユーザーの情報漏洩の不安を解消し、安心で楽しい広告作りが求められます。そして今後は、ターゲットに合わせたバナーや、ランディングページのクリエイティブの重要性がますます高まっていくことでしょう。
ここ最近のクッキーレスの問題や個人情報保護規制については、実務者様にとっても、わからないことや予想できないことも出てくるかと思います。まず、ウェブ広告の代理店など専門家に確認してはいかがでしょうか。ウェブ広告の技術やその最新動向を注視しておくことが、お客様にあった広告を安全に配信できることへの提案につながると考えています。
ウェブサイトのセキュリティーや個人情報保護、広告関連のお困りごとがございましたら、当社にご連絡ください。ランディングページのクリエイティブ相談も承ります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。