Excelでつい巨大な表を作ってしまう、なんてことありませんか?
大きな表ほど、文字や数字が小さくなってしまい罫線の量も大量。結局、何が読み解ける表なのか・・・わからなくなってしまいます。
今回は、販売実績表の作り方を題材に、 Excel で見やすい表を作る書式設定のコツをまとめました。
どれも基本的なことばかりですが、見る方(特に上司)にとって、やさしくわかりやすい報告書を作るためのヒントになればと思います。
見やすい販売実績表作りのためのおすすめの書式設定
- 最左端列は、見出しとして強調する
商品名が入る左先頭のタイトル列は、太字にしたり、薄くセル色を変更するなど、見出しとしての役割を強調します。また、タイトル列で、商品名(子)と小計(親)をレベル分けしたいときは、商品名のセルだけインデント(字下げ)させれば、親子関係を表現できます。 - セルサイズは、左右はたっぷり広めに設定する
セル幅は、左右はたっぷり取り、右寄せにすると、桁が揃うので見やすくなります。セルの高さは文字のサイズの1.5倍以上、できれば文字サイズの2倍程度をおすすめします。 - 作成年月日や単位表記は必ず表記する
社内資料では、意外にも日付や単位が見当たらない表も散見されます。いつの資料なのか、数値の単位が間違っていないことを示す意味でも、作成年月日と単位は必須です。なお、作成生年月日の today 関数利用は、開いた日付に書き変わるためおすすめしません。 - フォント選びは、慎重に。桁が揃えやすいMS ゴシックをおすすめ
表内部の数値の文字サイズは12ポイント以上をおすすめします。これ以上小さいフォントを使うことは、老眼がはじまる40代以上の上司に対して挑戦状をたたきつけるくらいの覚悟が必要です。
おすすめのフォントは、Windows ですと、MS ゴシック(Pがつかない方です)。MS P ゴシックがデフォルトですが、数値が多い表では、カンマも同じ当幅のMS ゴシックで出力すると揃っていて綺麗に見えます。PゴシックのPはプロポーショナル=均整の取れたという意味で、Pがつくフォントは文字ごとに文字幅が設定されています。 - 金額表記は¥を省略し、桁区切りで単位見やすく
明らかに金額の一覧なので、「¥マーク」は不要です。桁数が多くなると数字は見にくくなるので、桁区切りを設定します。また、%(パーセント)は、小数点以下第2位で揃えます。 - 集計欄は太文字と色分けで、表が締まる
合計、総合計といった集計値は、セル内の文字を太文字にしたり、行や列毎にセルに色をつけます。小計、合計、総合計とレベルの大きさに合わせて色の濃さを変化させると、表全体が引き締まります。 - セルの色は同系色で3色まで
表の配色は、同系色で三色以内に抑えます。色の濃さで、セル列・行の重要度を表現します。
意味もなく多くの色を使ってしまうと、表を見た方が、この配色に意味があるかと考えてしまいます。また、セル領域を色分けによって意味を持たせる場合は、モノクロ印刷配布か確認し、色分け以外の方法も想定します。 - 罫線はオモテ罫とウラ罫線を使い分けてプロっぽく
印刷業界では、通常の太さの罫線をオモテ罫、太めの罫線をウラ罫といいます。 Excel の表でも、セルとセルの間のは0.5ptくらいのオモテ罫、セル領域を大きく囲うときは、太めで1.0ptくらいに設定すると、プロっぽい表現でプリントできます。 - 印刷出力サイズを意識して無駄を省く
紙に出してじっくり眺めたいという上司の方もいらっしゃるでしょう。
そのような方のためにも、A4やA3サイズ出力を想定した書式設定をおすすめします。そうとは知らずに印刷をかけて、無惨に2枚に別れた表の無駄な出力し直しすることを抑制させられます。IDで誰が何枚出したかわかってしまう時代ですから。 - 作成する表から分かることをヒアリング
Excel の書式についてではありませんが、表作成にあたって重要なことは、この表によって誰が、何を知りたいかを事前に打ち合わせすることです。事前に手書きのイメージを作って共有しておくとズレが起きにくくなるので、おすすめです。
以上、よりキレイに見せるExcel表作りのためのおすすめの設定でした。
Excel での表作成は、会社独自のルールがあるなど、上記にあてはまらないケースもございますので、ご了承ください。
国が推奨する Excel のデータの入力方法
ここからは、国が推奨する Excel のデータの入力方法を紹介します。
政府である統計局は、 Excel のデータ入力方法を細かく指定しています。仕事上で Excel を使った表を作成する際にも、とても参考になります。
「統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルールの策定」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukatsu01_02000186.html
このルールは、タイトルにもある通り Excel で作成した表をデータベース化してAIなど機械処理にかけることが前提となっています。内容は、15個ほどのチェックリスト。ビジネス上の Excel 利用に際しても、参考になりそうな項目についてピックアップしました。
- 1セル1データとなっているか
1つのセルに2つ以上のデータが入っていると、並べ替えや計算ができなくなるためです。 - 数値データは数値属性とし、⽂字列を含まないこと
数値に¥や円、kgなど記号が入ると、そのセルの値が文字列として扱われてしまい、関数での計算ができなくなるためです。 - セルの結合をしていないか
結合されたセルは、範囲の選択がしにくくなります。また、セルの並べ替えができない上に、数値を対象としたグラフ化ができなくなります。 - スペースや改⾏等で体裁を整えていないか
スペースや改行を使って体裁を整えたセルは、データの検索性が低下して支障があります。スペースではなく、インデント(字下げ)を使いましょう。 - 項⽬名等を省略していないか
人であれば、省略された名称は理解できますが、プログラムは、省略された項目名は理解できません。 - 数式を使⽤している場合は、数値データに修正しているか
関数などの数式が入っている場合は、数値データに変換しておく必要があります。並べ替えした際に正確な値が表示されません。 - オブジェクトを使⽤していないか
矢印やボックス図形などオブジェクトは機械判別できません。 - データの単位を記載しているか
データの単位(円、個数など)は、計算処理に必要なため、別のセルに入力しておきます。 - 機種依存⽂字を使⽤していないか
機種依存文字は使用は不可です。環境が変わると正しく表示されないことがあるからです。 - (前略)⻄暦表記⼜は和暦に⻄暦の併記がされているか
プログラムによっては、年を値の大小で並べ替えするものがあります。西暦の併記や、ルールにそった時間の表記で、正しい機械処理ができます。
※注釈は原文を参考に筆者にて追記しました。
オフィスアプリケーションとして定番のExcelは、機能を増やしてきました。最新バージョンのExcel の関数は500近くあるそうです。全ての機能や関数を使いこなすことは、難しくなっています。今後は、入力や書式設定の自動化や、業務に応じたマクロを作ったりすることが、誰でも簡単にできるようになるのではないでしょうか。
統計局の入力ルールは、Excelのデータを機械に読み取らすためのものでした。今後は、人より AI がExcel の表からデータを読み取って自動処理するといったことも実現するのかもしれません。そうなると私たちの仕事は、表作成や入力に時間をかけることから、作成された表から何を読み解くかを考えることに重点が移っていくのかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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